どうせなら晴れた日の
きょう、いま、死ねればいいのにと思った。
今死ねばきっと世界でいちばん幸せな死体になれると思った。
髪を撫でる指の感触と額に触れる頬の暖かさをやわらかく暖かく思いながら死ねば欲しいものはこれだけだったからもうなんにも欲しいもの思いつかないからいい。
女にはなれなかったけど女の子で死ぬ。
生きもののいちばんしあわせな死に方をする。
こんな晴れた日の昼がいいね。
風のない日がいいね。
一時間だけ、片思いの人の胸と腕の間に頭をのせて死んでみた。
いまちょっと死んでみました、いま、世界一しあわせな死体、と言って二人で笑ってぎゅうとしてまた笑った。
それしかなくてそれでいい。