雪が降る街だ。

玄関のとびらをあけたら、ゆきだ、ゆきが。

深海にいるようだとおもった。

駅まで二分の道程の間に真っ白になった。
手と足の指先の感覚がにぶくなった。
白い息をはいた。
いつまでもぼんやりとしていたいんだ、このまま。
ゆっくりと眠りにおちたいんだ。
埋まってしまいたいんだ深海のゆきのしたのさかなみたいに。

ぼたんゆきだ。