春、その二。

外からやってきたという女は時々、妙なことをした。
とても晴れた日になると彼女は軽く着飾って
わたくしに指で四角を作らせるとそこからのぞいた空間の中に入り込みにっこりと笑って
「ハイ、ちーず」
よくわからない言葉をわたくしに喋らせるとありがとうありがとうとわたくしの手のひらから何かを受け取るような仕草をする(わたくしには何も見えないのだが)。
三日後には何か紙切れめいたものを空気の切れ目のような(これもわたくしには見えないけれど)場所に差し込むような動きをしたあとにっこりと笑う。