春、その四

ラクターの轍が道に土と草の縞模様を付けた道をゆく。
晴れているのに乾いているのに足元がねばっこい気がする。

本当はぐちゃぐちゃ思い悩んでいるのはわっちのほうだったんじゃないかという気がしてきた。



ふと気が付いたら田んぼに落ちていた。

生暖かい水に浸って、わっちは妻の顔を思い出そうとしていた。
泥だらけのわっちの顔を見て、笑ってくれたらいいな、
そう思った。