日々は喜びや感動や怒りや後悔に満ちているが、同じくらい無心の時間も満ちているような気がする。

何にも考えていない時間。

初めて言葉をしゃべったと思った瞬間を覚えている。
よちよちと歩行機で歩いていてふと母親の背中に向かって「今しゃべったらみんな喜ぶぞ」と思ってしゃべってみたらしゃべれた。
記憶はそこから一気に小学一年生に飛ぶ。
下校途中に友達と別れてひとりになってふと「自分が頭のなかで何かを考えている」ことを自覚した。
無心の時間のなかで「ふとした瞬間」が訪れて先に進む感じ。

本を読んだり音楽を聴くように無心の時間を貪ってもいる。
ときどき緩やかに時間の消滅を感じる。

電車のなかから花見をする客が見えた。
あと何回花見ができるのか、ふと考えた。
ふと訪れるかすかな物寂しさは最近生まれた感情で
これからだんだん心のなかを占めてゆくものなのかもしれない。

なんだか一足飛びに年を取ったような気分。
まだ社会人にもなっていないとゆうのにもういいよという。
そこに埋まるべきものが無心。