ノルシュテイン監督

昨日の夜NHKで「ユーリ・ノルシュテイン 日本をゆく」という番組がやっていて、とても面白かったです。
宮崎駿高畑勲を始めとして世界中のさまざまなアニメーターに尊敬される偉大なアニメーターはお人形さんみたいな可愛いお爺さんで、ラピュタ阿佐ケ谷で行われた「ノルシュテイン映画祭」の審査のために来日した監督は日本の若いアニメーターに対して「人の目や評価を恐れて自分の殻に閉じこもっている」と言います。
「もっと自分のまわりの色々なものを観察して自分の世界に取り込まなければ、想像の世界も現実も薄っぺらいものになってしまう。また、自分の国の文化 をもっと知らなければいけない。歌舞伎や俳句など、日本にはすばらしいもっと理解すべき文化があるのだから」
細かいニュアンスは違うかも知れませんが、大体こんな感じのことを言っていました。
監督は人やものや風景を観察しながら、そこからその対象の本当の感情を見いだすことのできる出来るひとなのだと思います。

監督の切り絵アニメーションには体温があります。
主人公が毛布をかぶって清書を続けるシーンひとつを切り取っても、毛布がずり落ちてきてそれをひっぱりあげて軽くもぞもぞしてふるふる震えてまた清書をはじめる、仕草がとても細かい。

二十年来の盟友、川本喜八郎さんやノルシュテイン映画祭の第一回目に最優秀賞を取った山村浩二さんとの対話もとても聞きごたえがありました。
川本さんとの対話では、川本さんの作品「死者の書」の撮影を通じて自身の作品「外套」との比較(というか共通の精神)についての話や文化についての話をし、山村さんとはまるで教師と生徒のように作品やキャラクターづくりについて語り合う、とても濃密な空間。
また、若いアニメーターを集めての対話でも先程の「殻に閉じこもっていて何も外のものを見ようとしない」というお話をされていました。監督は日本の若者の、飽食さゆえの知識の拡散と閉じこもりがちな性格を本当に心配しているのだと思いました。
文化は伝えなければ、残さなければならないものなのだと改めて思います。



ハフー、長々とした雑文ですいません。
結局私はそこから何を得ることが出来たかはよくわかりませんが、なんだか力をもらえたような気がするのです。
なんとなくですが。