空が たかい白い、冷たい風が耳に当たって
駅のホームのベンチに座っている。


駅から私の家が見える。
ちいさく見える。
なかでは父と母と祖母と弟が餅を切っている。
少し離れただけで、ずいぶん離れてしまったように思う。



「距離の遠さを、気持ちの遠さと勘違いしてしまうくらい 遠いのだ 妻の住む場所は」 



メルマガで書いた話のなかで使ったことばを思い出したら主人公のように途方に暮れた。

空が、高くて広くて
何にもしなくてもいいよと言われているような気がしたころ電車に乗った。
また正月になったら帰るのだけど年をまたぐだけ、一日二日出かけるだけなのだけど
なんだかふらっと放浪しているような感じ、浮き草のようなむすめ。


あたたかい電車のなかであたたかいその先のことを考えた。