ダメなりに生きる

新宿で映画「ダメジン」を観る、楽しかったー。
実は三木聡監督初監督作品。

リョウスケ、ヒラジ、カホルのダメジン三人組は毎日働かずに楽しく暮らしている。
靴屋のチエミちゃんはトルエン常習者だけど刑務所から彼氏が出所してきてうれしい。
かずえさんの働く工場はつぶれそう。

こんな奴がいたら面白いね、そいつらがこんなことしたらおかしいよね、というアイディアがたくさんつまっていて
本当に、出てくるのはダメな人たちばかりなのだけど最後までそのダメさがよかった気がします。

猫をたくさん飼ってる猫じじいがなぜか突然○○○○○に遭って頭からどばどば血を流してうわーってなったり
宇宙人を見せ物にしていたらやくざに諸場代とられたり
片桐はいりが妊娠検査棒もって「見ます?」と言ってきたりその役名が「タイアン」だったり

とにかくもっと内容に触れちゃうネタばれでいろいろ話したくなるくらい小ネタがたくさん詰まっていて楽しかったのです。

個人的にはゲシル先輩が面白。
「俺は伝説を作るんだ、まだ具体的には決めてないけどな!」とか言いだす迷惑なはげ頭なのだけど
特に事故った後からいちいちやることが無茶で可笑しくて好きなキャラになりました。
岩松了さんとふせえりさんのコンビも大好きだー。

それにしてもチエミちゃん役の市川実日子ちゃんは洋服も性格も全部が可愛かった…!
そのチエミちゃんと佐藤隆太くんが演じるリョウスケの、靴ひもを探して地面に埋まっているビニール紐を掘り出してみたら紐はどこまでもどこまでも続いていて
面白がってどんどんひっぱるけど途中で「先を知らないほうがきっと楽しいよね」とか言ってやめて
チエミちゃんがビニール紐を靴ひもにしてリョウスケの靴に通してくれるというシーンがなんかとても良かったです。



そしてこの日はたまたま三木聡監督のティーチイン(観客が監督に質問できる)があって、ダメジンのほかに亀、プール、時効警察などの話もちょっと聞けてとても得しました。
水曜千円だったし!


以下ネタばれ?というか印象的だった話


・「ダメジン」は本当は「ほぼ乞食」というタイトルだったが宣伝しづらいので止めてくれといわれた。

・「ダメジン」は緋田康人さんと温水洋一さんとファミレスでしゃべっているうちに盛り上がってアイディアができた。

・セーラー服着た幽霊役の伊東美咲さんは、大ブレーク前にオファーして受けてもらえたので今考えるとラッキーだった。

・実は以前「キャシャーン」の脚本をやらないかと言われたことがあるが、自分が作るとキャシャーンが延々麻雀ばかりやってる映画になりますよと言ったらなくなった。
「敵が来た」と言われてもやっぱり麻雀に熱中してるので「キャシャーンがやらねば誰がやる!」という小ネタとか考えた。

・「ゴジラとかやらないんですか」と言われたが、やっぱり自分が作るとゴジラの死体を片付ける地味な話になりそう。
 岩松了さんが清掃局の係長とかで片付けはなかなか進まないしゴジラはどんどん臭くなってゆく。

・「呪怨」とか「感染」とかにかけて「邪念」という映画を考えてみた。

・結果的に遺作になってしまったが、岡田真澄さんは自分から「シェイクを持って出てきたら面白くないですか?」とか積極的に話し掛けて提案してくれるとても気さくでいい人だった。

・次回作はシンナーの話。
 時効警察で名前が売れている今のうちにいろいろやりたい。


等など監督自身が小ネタで出来ているような楽しいトークショーで、もっとこの人の話が聞きたくなりました。