うららか。

もさもさの寝起きで居間に下りたら宮崎パヤオがいて
びっくりしたら伯父だった。


三日ほど帰省してだらだらしていた。
お墓参りにいったほかは家でごろごろして携帯で洒落にならない怖い話を読んで夜更かし三昧の日々、
幽霊よりも生きている人間のほうが怖いと知る。

弟も一日だけいてくれて和やかムードだったので恐れていたほど叱られずダメ姉さん的扱いですんでよかった。
やがて従兄とそのお嫁さんもきて、始めて会ったのだけども女優の須藤理紗似で非常にキレイな方だったのでどぎまぎしてちゃんと話せなかったわたくし24歳女子、美しいものが大好物でございます。


今回の帰省のお供は文庫本で軽いこともありマイミク川島さんのお薦め、水木しげる著「ねぼけ人生」を読んだ。
水木先生の文は人柄が現れていて好きだ。
水木先生に限らず、文章から個性がにじみ出て自由に書いたその人を想像できる本を好む。

「ねぼけ人生」は水木しげるが少年の頃から戦争、貧乏生活をしながら四十代を過ぎてようやく売れるまでをさらりと振り返る構成になっていて
特に戦争話は私の祖父も同じラバウルに出兵していたということもあり興味深く読んだ。

思い出の祖父は、物心ついた時はすでに床から離れられずにいたけれど
祖母とともに赤ん坊の私をあちこち連れて散歩をしたり電車で出かけたりしていたのでちいさな私はすっかりお爺さん子で
婆抜きや七ならべ、神経衰弱など主なトランプゲームはすべてこの祖父の布団のそばで覚えた。
(なのでなのだろうか、その他のゲームがうまく覚えられない)
とてもやさしくていい祖父だった。
その後祖父が亡くなり時折祖母が写真で見せてくれる祖父の若い頃は、きりっとしていて真面目そうな青年で
祖母とは十二歳離れた許婚で、小さいおかっぱの赤ちゃんな祖母と少し離れて写る若い写真もちょっと緊張気味。
このあと二人は長い時間をかけて距離を近付けて、結婚して子供が産まれて戦争で離れて、再会して孫が生まれて穏やかな顔のお爺さんお婆さんになったのだ。

もしかしたら祖父も一歩間違えたら爆撃で亡くなっていたかもしれない、誰かを殺めたのかもしれない、でも、生きていてくれて、短い間だったけど出会えてよかったと思う。

ねぼけ人生と離れてしまったけれども、読みながら祖父のことを想ったのだった。
気付いたらお盆。
どこかにいたのかな。


映画「妖怪大戦争」での水木先生の「戦争はいかんですよ、腹が減るだけです」という言葉がとても好きだ。
シンプルだけど、深い。



そして今日は上京がてらいそに誘われて渋谷で舞台「噂の男」を観た。

古い演芸場を舞台に支配人、芸人たち、ボイラー技師が過去の事件を絡めて感情をぶつけ合うしんどいけど見応えのある舞台で、
生で八嶋さんのハイテンション芝居も観れてよかった。
役者陣も橋本じゅん橋本さとし山内圭哉堺雅人と実力のある人ばかりで贅沢。
常々山内さんは髪の毛があっても素敵なのではないのかと思っていたのだけど、今日逆の真実を確信した。
山内さんは普通の髪型はめちゃめちゃ似合わないが
スキンヘッドと時代劇の髷はよく似合う男前なのだと。
まあ今回普通の髪型のヅラを被っていたのがすごい違和感だったという話。

舞台は、舞台上で世界ができあがってその演じられた時間の中で喜怒哀楽の感情がぶつかり合ってやがて世界が崩壊していく振れがおもしろいとやっぱり思う。


帰りに勢いでプリクラを撮った、はずかしい。
カラオケもまた行った。
YUKIちゃんの「JOY」は本人よりいその歌ばかり聴いているので、いそのボイスですっかり刷り込みされてしまった。
死ぬまでどきどきしたいわ、なんて言われたら思わず付き合ってしまいたくなるじゃないか。
恐ろしいガールだよあの子は。
一方私は童貞青年が叫びながら全力疾走してるような歌ばかり歌っていたのでひじょうに気持ちが良かった。


帰りにタワレコハナレグミゆらゆら帝国朝日美穂のCDを買ってようやく帰宅。
これで夏休みが終わり明日からまた仕事。
階段の至る所に蝉の羽が落ちていて不気味。