ひらひらしょう。

渋谷で「秒速5センチメートル」見る。
以下けっこうねたばれ。




小学生の時に心通わせた女の子を大切にいつまでも想い続ける男の子の物語。
見ながらずっと頭のなかで「男の恋愛は『名前を付けて保存』、女の恋愛は『上書き保存』」て言葉を反芻してしまうくらい主人公の貴樹は初恋の女の子あかりを想い続けていて
そんなに好きならどうして彼女とか細い繋がりでも残しておかないのか、年一回手紙のやりとりでも電話するでも方法はあるだろうに宛先のないメールをいつまでもカチカチやってため息ついて傍にいる女の子に中途半端に優しくしてみたり大人になってから付き合った女性には「長く付き合ったけどあなたとの距離は1センチも縮まらなかった」みたいな暗いメールを送られたり、劇中何回も貴樹くんに「おいおい」と言いたくなったのはきっと三話の短篇が時の流れそのままに並んでいたからではないかと思う。
はじめから一番大切な思い出の記憶の話で主人公に入り込みすぎてしまいその後の貴樹の行動心情がすべてわかりすぎて気恥ずかしくなるので二話→三話→一話、または三話→二話→一話のほうがよかったような気がしする。
貴樹とあかりの中ではあの雪の中でキスをしたその瞬間が二人の世界のすべてで、完結して、そのあとはただただ幻のお互いの姿を夢想してさまようのであるならあの話は一番最後に見たかったような気がしたのです。
でもそこをあえてストレートに描くのも新海作品ならではなのかなとも思うのだけど。
あと、三話目はほとんどプロモーションビデオ……たしかに山崎まさよしのあの歌は名曲だけど最後全部貴樹の想いが歌詞に内包されちゃっててこっぱずかしくなってアチャーてなった。
でも二話目の好きな人をドキドキしながら待つかんじとか、あの人は他の人とはちょっと違うみたいだわと思ったりとか、きっとあの娘にとって忘れられない一瞬になるような場面がいくつもあってそこは泣きたくなるくらい懐かしい感覚で上書き保存とか言われるけど女だって好きな人と過ごした時の想いをずっと覚えていてふとした瞬間に思い出して胸にちょっと痛みを感じたりたりするわけでなんだかんだで痛いとこ刺されちゃう作品だなと思った。

ほんとうに、なんで頭の中に浮かぶ好きなあのひとの姿はいつもひとりなんだろう。