刹那五月雨打ち

渋谷で映画『必死剣鳥刺し』観る。
時代劇。

バカ殿が治める藩に仕えている主人公は、悪政の元凶だった殿の愛妾を殺める。
切腹を覚悟していた主人公だが、意外にも処分は一年間の謹慎と軽く、その後仕事にも復帰できたものの、新しい職は精神的に針の筵な劣悪環境。
バカ殿にチクチク苛められながらも職務をこなしていたが、ある日上司からバカ殿と折り合いの悪い、別家の帯屋様を斬ってくれないかと頼まれる・・・という話。

「隠し剣鬼の爪」同様、最後に必殺技の「必死剣鳥刺し」がどういう技なのかがわかるのだけど、
この映画はとにかくそこより主人公と主人公に思いを寄せる姪の恋が切なくて、姪役の池脇ちーちゃんをとにかく応援しながら観た。

出戻りで行く場所が無いのを、おばである主人公の妻が受け入れ家に住まわせてもらうようになって以来、
ずっと主人公たちの近くで、病気がちな妻をいたわり中睦まじく暮らす姿を微笑ましく眺めていた、りお。
やがておばは亡くなり、殿の愛妾を殺め謹慎する主人公の世話を一手に引き受け支えるようになるうちに、いつの間にかずっと側にいたいと願うようになる。
その気持ちが恋になっていく様がなんとも切なくて・・・池脇ちーちゃんの、いつもちょっと泣きそうな表情と、後半の泣き顔でこっちも泣きそうになった。
きれいじゃ無い泣き顔がいい。

帯屋様も、多分すごく熱くて良い人だったてっとこもこれまた切なかったなあ。
村人にかなり慕われてるみたいだったし、そんな良い人と対決せざるを得ない運命の皮肉(というか陰謀)は・・・。
愛妾もろともバカ殿も斬っちゃえばよかったのにね!とか、りおとにげちゃえばいいよ!とか、軽く言えない武士という職業の悲しみ。

そんな悲しみを背負う主人公トヨエツ。
腹の皮がチョット余って弛んでるのが残念な感じだったけど、寡黙な男が最後に見せる、苛烈で必死な闘いはグサッと胸が傷む。
トヨエツの時代劇は好きなので、次はまた丹下左前やってほしいっす!

あと、帯屋様役の吉川晃司がかなり凛々しくて素敵だと思った。
怒られたい。
髷が似合って、乗馬姿が様になってるのだ。
こっちもまた時代劇で観たい。


とか、なかなか私には切なさ乱れ打ちな映画だったのだけど、もろもろの感情を、エンドロールの歌が一気に吹っ飛ばしたのでいますごく微妙な気持ちになっている。
エイベックスの、いつもの浜崎あゆみバラード調の歌(歌ってるのは浜崎あゆみではないけど似たような感じ)は、かなり萎えるっつーの!!!

そんでさっきTSUTAYAでDVD借りようと思ったら、カードが切れてて店員に追い返された。
何気に今日一番の切ない出来事かもしれん。