渚の国のひとたち

餃子の具を作りすぎて包むのがめんどくさくなった、と理由をこしらえて好きなひとを呼んだ。
包むの?いいよ、と言って今日は珍しくケーキを買ってきてくれた(本人が食べたかったついでだけど)。
山のような餃子の具に改めて二人途方に暮れた。
極端に感化されすぎた。

皮が足りないので新しくこねている間に餃子を包んでもらったら室温で皮がだらりとして包みづらいらしく、俺は不器用だ、やばい、はみ出た、皮が溶けてくっついてる、ヘタレ発言が聞こえてきてそれに呑気に答えるのがとても楽しかった。

でろでろして包みづらい皮に困りながらなんとか包んだ二十個くらいの餃子を焼いて食べた。
具はもちろん余裕で余りまくっているのだけどなんかもう包むの嫌になったのであとで普通に市販の皮買ってきて作ればいいや、と投げ出した。
でも手作りの皮で包んだ餃子、たいそうおいしかったでございます。
食べ過ぎた。

食後にケーキを食べた。
ショートケーキとモンブラン、どっちがいい?
モンブランを大事に大事にゆっくり食べた。

やっぱり何にも伝わってないみたい。
いつまでいてくれるかなあとぼんやり思った。
「日本の女」観た。
かっこいいね、と言った。
眼がね、似てると思った始めて会った時、踏み切りで始めて見た時見間違えてそれからずっと知り合いになれたらいいと話せればいいとそれだけだったのに今ここにふたりでいる、不思議。
いつかきっとこの時を懐かしんだりするんだと思った。
なにもなくはないでしょう?
恋情ではないけど、違う何かにはなれてるでしょう?
そんなことをぼんやり思いながら漫画を読む横顔を眺めて一緒に笑った。
夜は素敵。
孤独も素敵。
全部が融けて混ざって流れて広がればいいいのにずっと続けばいいのに。