力士めがね。
高見盛とか、眼鏡をかけた力士を見ると懐かしい気分になる。
小さい頃、はとこの旅館にすもう部屋の人たちがきた。
昔から琴稲妻の頭はやばかった。
ふとっちょ人口が高いのが面白くてロビーでうろちょろしてたらロビーのソファーに座ってた力士がおいでおいでして「坊主こっちにおいで」と言った。
「坊主ちがうよ」従姉がそう言うと眼鏡の力士はうろたえて私を膝に抱えあげて頭わしゃわしゃなでて謝った。
「俺の妹もむかし男の子にしか見えなかったけど綺麗になったからおまえも綺麗になるよ」
まじないをかけられたような気がした。
あの眼鏡をかけて着物を着た髷力士は誰だったのか覚えてないけど、ただ眼鏡をかけた力士を見ると懐かしい気分になる。
綺麗にはまだまだなれてないけどいずれなれたらいいな。
感じの、雰囲気の綺麗なひとになりたいな。
いつも頼りないぼんやりした心持ちなので懍としたものに憧れる。