あつい手のひら。

四階のアパートのドアを開けたら階下に育ちゃんの姿が見えたので四階から一声かけて階段を駆け下りた。
三階から二階への間の階段で転げ落ちた。
慣れないスカートとブーツが恨めしくて足が痛くてきっと大きなあざができているんだろうと思った。
なーにやってんの大丈夫?と育ちゃんがひょうひょう階段を上ってきた。
足が痛いよ手のひらも痛いよ、半べそで育ちゃんに手を伸ばした。


他の人といる普段は酔うた時も転んだ時も「大丈夫です」と言うけれど育ちゃんには言わずに、つないだ手はそのままつないだまま立ち上がって階段を下りた。
べそべそしていれば手を離さないでいてくれるんじゃないかなと思ったほんとは足がじんわり熱いだけだったのだけど。
階下におりてからも手をつないだままでいたら、何?どうした?と困った顔で見下ろされて何でもないけど何となくと言ったら
育ちゃんは熊の顔をさらに歪ませて困ったなあと言った。


コマッタナア、私もそういって首を傾げた。
とても嬉しいと思った。