近所の飲み屋に行った。
十人入ればいっぱいになるような小さな焼鳥屋さんで、店には私たちも入れて六人くらい
あとから女の子が二人くらい入ってきてそのうち一人のおじさんがお勘定を払おうとして動かなくなった。
いやだ、顔がどんどん青白くなっていく、と女将さんが心配そうに言い
大将の太郎さんも大丈夫ぅ?と声をかけたけれどおじさんはテーブルに俯せになって動かない。
次第におじさんの体が汗ばんできて手の甲にも汗がつぶになってきておじさんの隣に座っていた会社員の人と中年のカップルがとりあえず座席席に横にしようと提案して手分けしておじさんを抱えて座席席に横たえた。
座席席には女の子二人がいて、おびえたように氷水で冷やしたタオルをおじさんの額にのせておろおろ顔を見合わせていた。
太郎、救急車呼ぼう、と女将さんが息子の太郎さんに言って太郎さんが電話を掛けて二、三分後救急車がきた。
救急車がきた頃おじさんは目を覚ましていて、動きはふらふらしていたけれどなんとか危ない境は渡らなかったようで救急隊がいる状況が飲み込めずに見当外れに起こったり間違えた傘をもっていきそうになったりしながら結局救急車に乗せられて帰った。

おじさんが座席席に運ばれたていた時、目がかっと見開いているのに意識がなくて何も見ていない焦点がない状態だったのが生々しい人形みたいですごく恐かった。

イノウエさんが以前同じような感じになって意識は無くさなかったけれど汗が異常に出てしきりに自分の体が恐い恐い言っていてその時のことをちょっと思い出した。
結局見なかったけどスマスマのCMで小泉今日子が「酒の楽しみは記憶を無くしてから」というようなことを嬉しそうに話していたのも思い出した。
全然楽しくない。

救急車が去って、女将さんがごめんなさいねえと言ってビールをくれてすぐあとから何も知らない女の子が一人入ってきて先にいた女の子二人組に合流してたちまち雰囲気は明るく華やかになって
会社員が一人帰って会社員二人がまた新しく入ってきて大変なことがあったんだよう、なんて太郎さんが言って
わたしは春巻とか鰹の刺身が美味いなあとかなんとか思っているうちになんとなくまた楽しくなってきてなんとなく溶けるような気持ちになったのだけど

うちに帰ってだらだらとしていたら夜中なかなか眠れなくなって朝早く起きなければいけないのにどんどん時間がすぎていくのでどんどん焦って眠れなくて
やっと眠れたと思ったらなんかちいさな芸大の文化祭でラーメンズのコントを見るため座っていたら後ろのおじさんがうるさいので履いていたスリッパでおじさんの頭をしたたかに音たかく打据えてやったら賢太郎さんに笑われてしまうというよくわからない夢を見て、でも賢太郎さんが笑っているのはなんだか嬉しいなあと思った。
結局一時間くらいしか寝れなかった。

起きて軽くお風呂に入ってお弁当を準備していたら、ご飯を詰めた弁当箱が引っ繰り返って地面に落ちて思わず お弁当がぁ!と子供みたいな泣き声をあげてしまった。
時間が無いのでとりあえずご飯を拾って流しのシンク投げ付けておかずだけ詰めてご飯はコンビニで買うことにした。
悪いことを悔やんでいるとまた悪いことを呼んで不安になるばかりだから楽しいことを考えなきゃと思うとやっぱり焦るもので、家の鍵が見つからなくてまた泣きそうになったりした
今日は一日気を引き締めておかなきゃまだまだ色々引き寄せてしまいそうで少しこわいな。

よく眠れなかったせいで今日はまだ昨日の続きのような気がする。
このまま無限ループだったらどうしよう、終わらない山田ゾンビ、とか電気グルーブの歌が聞こえる。

電車の中吊り広告のハーゲンダッツ胡麻味がすごく美味しそう。
レディーボーデン、最近見ないな。

今日は萩原朔太郎の「猫町」を読む。