百鬼夜行

大人数の飲み会に行った。
でろでろに酔った片思いのひとにからまれて嬉しくてつい飲みすぎてしまった。
居酒屋にいたはずなのに気付いたら机はとっぱらわれて大人数はいくつか少人数のグループに分裂して輪になり畳にあぐらをかいて飲んでいた。
ちょろちょろとねずみが輪の中心にやってきてくるっと宙返りをして死んだ。
死にましたね恐い恐い、いいながら飲み続けるひとたちの顔はよく見えないけれど片思いのひとの顔だけはわかったのでまたからまれに行った。

恐くない?
どうなんでしょうよく分かりません
俺は恐い

恐ぇ恐ぇいいながらにやにやしているそのにやにや笑いにぞくぞくした。
いつのまにか、まわりのひとがみんなぐにゃぐにゃとした得体の知れないものになっていたので恐くはなかったがこっそり片思いのひとに寄り添った。
早くこのひと酔い潰れてしまえばいいのにと思った。
音がどんどん遠くなってこっちがふわふわ眠くなってくる。
寝たら置いていかれてしまうので起きていた。

まわりのひとはどんどんぼんやりとしたものになりマーブル模様になっていくのでますます眠くなった。
硬くなった鼠を膝のうえにのせてつついたり尻尾をつまんでほらほらと突き付けてみたりした。
鼠の毛は真っ白になって触りごこちがよくなった。