月夜に夢。

自転車で隣町までゆく月夜の下 今 車に轢かれて死んだらやだなと思った。
死んでもいいよとも思ったけどもうちょっと 気持ちの良いものたくさん欲しくなった。

ぎゅう、とくっついてもぐり込んでくすくす他愛のない話をして笑って抱きしめて抱きしめられて
頬寄せて目蓋に口付けして頬に口付けて
触れられてくるくると髪が指に絡まってくるくるほどけて一息、ふっとはじめて男の人とキスをした。
生ぬるくて柔らかい、きれいでない、よくわからないのがいい。
やりかた、よくわかんないよ俺も分からんよと笑ってもう一回して頬を寄せてよくわからんけど柔らかくていいねと言うのに頷いてもぐり込んで眠った。

昼間は暖かかったけど夜は寒い。
暗い道を自転車でゆく。
上弦の月
ヘッドホンから音楽が鳴る。

起きたらお腹空いたので近所の定食やに行って、ランチタイムまで30分ちょっと待ってくださいと言われたので珈琲と紅茶を飲んで話こむ。
向かい合う席は誰といても恥ずかしい。
私はブリの塩焼き定食で、むこうは秋刀魚定食。
魚はおいしい。
帰って昼ドラ見てまた昼寝。
寝てばかりで4時近くなってバイト行かなきゃいけなくなって、でも起きられなくて行きたくないねって笑ってまた口付けをして、やっぱり慣れなくてでもまた触れる感触を嬉しく思ってバイトに行く人を見送って自転車に乗って隣町の電気やさんにプリンターのインクを買いに行く事にした。
夕暮れ空の下 今 車に轢かれて死んだらやだなと思った。