地面に唾を吐いたおっさんの、吐いた唾が強風で向きを変えおっさんの爪先を強襲。



ベタなコントでしか見ないような風景をいざ目にすると妙に感動して誰かに伝えたくなるのはなんで。
次は風に飛ばされるカツラを追い掛ける某○○(建築士でも司会者でも俳優でもお好きな名前を入れなっせ)を見せろと思う。


今日は人出が少ないのに利用者多く忙しい一日で
利用者が多いと変な人も多くて疲れた。


『(中略)わたくしがふと気付くとカウンターのそばに設置してある水飲み場から、何かを啜るような音がいたしました。

音に混じって聞こえてくる「ウェッ、オ゛ハァェ、ゲポッ」という声……


恐る恐るそちらに目をやるとなんと……


ずるずるの色褪せたジャージを着た坊主頭の少年が一生懸命鼻から水を吸い込んでは口から吐き出そうとしているではありませんか。

彼は一体何がしたいのかわかりません、ひたすらわたくしは彼を凝視して
滴れる鼻じるが飲み口に付かないか内心ひやひやとしておりましたが幸いお汁が飲み口に付くことはありませんでした。
しかしつくづく公共の物に潜む危険を感じたのでございます……。



そんな、わたくしの耳に再び聞こえてきたのは電話のベルの音でございました。
あわてて受話器をとったわたくしの耳に、聞きとりづらい老爺の声が聞こえてきます……



「にょいあわえいいのわうおひひおはありますか」




「…えーと、吉川英治の何の本でしょうか」

吉川英治はなんとか推理して聞き取ることができましたが、肝心の書名がいくら聞いても聞き取れませんでした。


「わうおひひお」
「マントヒヒオ?」


「わうおひひお」
「何とかしろ?」


「わうおひひお」
「悪と批評?」


かような愉快なやりとりを繰り広げてようやく正解「鳴門秘帖(なるとひちょう)」に辿り着いたときはわたくし、一瞬涙が出そうになりました…。
そのあとも聞き取りづらい爺とのやりとりを繰り返しお問い合わせの本は在庫であることをお伝えし、取りにいらっしゃるのかどうか確認の段階にこぎつけました。

「今日取りにいらっしゃいます?」
「きょう?むりだ、ガチャン」

……あっけなく爺に電話を切られたのでありました、キー!』
(はぎこの日記より一部抜粋)



ああつかれた。