メガネーゼ

メガネが飛んで、無くなってしまった。


それは五日程前のこと、雨が降ったり止んだりする微妙な天気の朝
不安定なバスを避けて自転車で強行しようと決意した私は、雨粒に濡れないよう自転車の前籠にメガネを放り込んだ。
雨は軽くはたいたお化粧の粉を洗い流すくらいでなんとか職場に着いてさあメガネをかけましょうねと前籠をまさぐってみたところ……ギャー!ねえ!!という騒ぎになったのだった。

お掃除のおばさんと辺りを捜索したりカバンをひっくり返したりしたのだけれど結局メガネは見つからず、仕方なくその日および次の日も裸眼で過ごすはめになった。
そういうときに限って書架整理が忙しかったりパソコンを使ったり子供のお絵描きコンクールの優秀作品展示の準備をしたりの作業があったりするわけで
眉間の辺りに力を入れて顔をぐっと色んなものに近付けまくってなんとか昨日まで生活してやっと新しいメガネさんを作った。


新しいメガネさんのフレーム、玉虫色。


見る角度によって怪しくきらめきます、暗がりでは黒く見えます、あたらしい玉虫色のメガネ。
かけてみると案外落ち着いて顔に馴染んでいるような気がするのだけど
でも、かけているといつも「玉虫厨子」のことを考えてしまうのはちょっと困るかな。