マルタのやさしい刺繍

先週銀座で見た映画。


マルタのやさしい刺繍

スイスの小さな村に住むマルタおばあさんは八十歳。
最愛の夫を亡くしてふさぎ込んでいるマルタを心配した友人たちは、マルタが若い頃刺繍が得意だったことを思い出して村の合唱団の破れてしまった旗を繕うことを提案します。
友人の一人、村のひと達にアメリカかぶれと言われても明るく胸を張って生きてる女性のリージが「さあ、喪服は脱いで着替えて首都に布を買いに行きましょう!」とマルタと彼女の衣裳ダンスの整理をしていると、大事そうにしまわれた箱が。
あけてみると、まあ、素敵なレースであしらわれた繊細な刺繍の美しい下着がたくさん!
マルタは若い頃、自分でデザインを考え刺繍した下着のお店をパリで開くことを夢見ていたことを思い出します。
旦那さんに刺繍をやめろと言われてずっと忘れていた夢でしたが、首都の布やさんでたくさんのレースを見てわくわくしたり、リージが親身になって力になってくれたこともあり、マルタは八十歳にして自分の夢をかなえるため努力をすることになる、というお話。


決心をしてからのマルタの強さが眩しくて可愛い映画でした。
夢を見たっていいじゃない、とキッパリ言い切って生きられるってすごくいい。
リージの他のマルタの友人たち、老人ホームになじめないフリーダと、体の不自由な夫と威張ってばかりの息子の間に挟まれて窮屈な思いをしているハンニの二人も、始めは突飛なマルタの行動に呆れたり困惑したりしていたのだけど次第に勇気づけられて自分で自分の居場所を見つけだすように踏み出し、マルタのよき理解者となる展開は、予想して見てても心が温まりました。
素朴で素直な魅力が村の自然や登場人物にあって、こういう前向きな我儘は素敵だと思います。
みんなで刺繍したり、出来上がった下着を箱に詰めたりするとこが可愛くてすきだー。