花見なむなむ。

井の頭公園に花見に行った。
ミサイルが飛んできたらどうしようね、と話をしながら道をゆく人が皆笑顔なのでたぶん大丈夫だと思った。
お腹が空いたので焼鳥屋さんに入ったら、相席の年増カップルが焼き鳥を突きながら「かたい、不味い」とまわりに聞こえる声のでかさで文句ばかりたれてうるさくて辟易した。
不味いと思うなら残してそっと外に出て違う店に行けばいいのに、そういう輩に限って長居するのは何で?
そしてそういう輩に限って、わざわざ焼き鳥をバラバラにほぐしてさらに不味そうに見せようとするの?
七味もこんもりふりかけてまるで血のよう、まるで西部劇の悪者が主人公をいたぶる場面のようだよ。
そんなカップルの女性の方が先日見たテレビで、幼稚園児が担任の女の先生が男か女かわからないと言っていたという場面をあげへつらってばか笑いしていたのだが、見た感じババアーも女かニューハーフか分からない見た目と声なのによくゆうなあと思った。


お腹も満ちて井の頭公園内を散策したのだけど、桜より、人が見渡すかぎりごたごたとしていて、園内の売店で買ったさくらんぼビールを飲みながら歩いていく中でまず印象的だったのは、池を埋め尽くさんばかりのスワンボートと、それに乗りたいカップルが作る長蛇の列の光景だった。
ぎうぎうの池で、ごつごつぶつかり合うスワンボートたち。
なかなかのカオスさに、本当に楽しいのかこれ?と、道行く人が苦笑しながらカメラに収めていたが、当のカップルは楽しいらしく皆笑顔。
げに恐ろしきは恋の病、なむなむ。

そして次に皆の目を釘づけにしたのは一人の紳士。
公園内にはギターや太鼓やら楽器を持ち込んで浮かれ騒ぐ若者がたくさんいたけれど
彼は、自分の身長よりでっかいコントラバスを持って所在なさげに、演奏することなく一人ブルーシートの中心に立っていた。
あんまりの所在なさげ具合に、罰ゲーム?待ち合わせの目印かなにか?と思わず声をかけたくなる光景だった。


百鬼夜行もちゃっかり行われてそうな公園内の喧騒を離れて、線路に沿って次の駅次の駅を目指して歩いて、ようやく桜を愛でる気持ちが沸き上がってくる頃にはすっかり酔いが回っていい気分になっていた。
外で飲むお酒ってなんて美味しいのだろう。
たくさん写真を撮った。
半分くらいぼけていた。
楽しかった。




でもほんとうに焼き鳥、固かったんだけど……。