袋男。

たぶん彼氏、のようなひとが紙袋をかぶりはじめた。
いっぺんビニール袋で死にかけそれ以来もっぱら紙袋を好んでかぶっている。
一度わたしもかぶって紙ごしに接吻を試みたけど、あんまりよくなかった。
おまえはかぶらなくてよい、という。
たまに袋がくだもの臭いとか文句もいう。
顔で好きになったわけじゃないから別にいいかと思う。
腕の細さや浮かぶ血管とか鎖骨とかがいいと思う。
でもぶち殺してくれそうなあの眼が見えなくて、それは残念に思う。