リバイアサン

町の真ん中にある山の、中腹に四角い穴が開いて水が溜まった。
水はどこまでも透明で虹色に光っていたがいつのまにか町に浸水して線路が水路になった。
浸水はしたが水位は十センチ程度にしかならなかったので長靴をはいて外に出た。
透明な虹色の水を跳ね上げ歩くのは愉快なものだった。
空はお正月のような青がはっきりした青空で、でも傘をさして線路を辿った。

線路は四角く開いた山の中腹に続いていて綺麗な水が満ちた穴の中には大きい魚が棲んでいた。
水がどこまでも透明なので魚は町のどの場所からも見えた。
おっきい魚だったのでいつでも見えた。
水の神さまなのかもしれないと思った。
呼んでも魚影しか見えなかったのでまた線路を辿って帰って寝た。
明日起きたら山とは逆の道をたどって、ガスタンクのあるほうへ行こうと思った。
水が流れる音を聞きながら眠りにおちた。