ぞろぞろ

見知らぬ紳士とホテルに入る。

チェックインは六名様ですね、とフロントが言うのを紳士は聞き逃していたので適当に返事をして鍵を受け取って部屋に入った。

部屋は民宿みたいな部屋で、カーペットに畳の部屋だったので紳士はたいそう不満そうだったが部屋が広くていいよ、と瓶ビールをグラスに注いですすめてきた。

早くご飯だけ食べて帰りたいなあと思っていたら老夫婦が二名入ってきて、なるほど六名様は相部屋なのかと思っていたらおじさんおばさんじいさんばあさんがぞろぞろ入ってきて三十人くらい入ってきた。


はじめは笑って見ていた紳士も段々増え続けるじじばばにいらつき始め、やがて真っ赤になって部屋をでていった。
一人残されて途方に暮れたがじじばばは話し掛けてこなくてただ増え続けるだけなので飽きて外にでた。
庭は日本庭園で苔むした飛び石を渡りながらほっとしていることに気が付いた。