長い夢と永い夢

私が息をすることをやめてから随分たつようだ。
命がなくなる瞬間は覚えていない。
たぶん夢に落ちるように、命も落っこちてくれたのだと思う。
生きものとして一番幸せな死に方だったのではなかろうか。

土の下敷きになってじっとしているのは生前思っていたほど退屈だったり苦痛だったりはしなかった。
面倒な感情はすべて肉と共に燃え尽きてくれたようで、手ぶらな気持ちでいる。

もうすぐ、この気持ちも土に溶けて消えてなくなるのだろう。
生きていた記憶は長い夢のようで、これからの想像はきっと永い夢だ。
大きなものに取り込まれてそいつの見る夢になる。

願うという感情も無くなったけれど、ぼんやりと溶けてゆく骨の暖かな感覚をなぞりながら歌を歌った。
歌詞が思いつかなかったので「ラララ」で歌った。





それでは さようなら。