とくするからだ

うちから仕事先の図書館までは電車で一時間かかる。
それから徒歩で二十分。


小田急線から千代田線に入ると電車は地下に潜ってしまうい途端につまらなくなるが、それまでは外が見えるのでけっこう楽しい。


昨日の朝は、のぼりかけの日のひかりが地上近くにたれ込めて重なる雲にあたって真珠色の空だった。
牡蠣の殻の内側みたいな空の、その下に遊園地の観覧車が遠くに見えた。

中学生の頃に、同じ色をしたドラゴンを描いたことがあるなあということをふと思い出す。


今日は、曇っていて空一面が白くて
ぼんやり眺めていると何にも考えなくなってくる。

普段から何にも考えていないのだけれど、やっぱり日頃色々思うことはあるので
これくらい頭のなかが何にもなくなると頭の中はヘッドホンから流れてくる音楽だけで満ちるので気持ちがいいなと思う。
さらさらとした煙が漂って満ちて静かに沈んでゆくような気持ち。


帰り道は、逆にその空っぽになった頭に色々なことを押し込んで容量がすぐいっぱいにしてしまうのでえらい疲れるのだけれど
うちに帰って寝るとそれもすぐ抜けるので、得する体ではあると思う。