桜飛沫。

世田谷パブリックシアターで芝居、阿佐ケ谷スパイダース「桜飛沫」を観る。


二幕の劇で、時代劇。
一幕目は医者と村人と領主の話。
村を治める郷地三兄弟によって出された「子供は三人までとす」の令に対し、どうしても子づくりが止めることのできない村人たちのために避妊具を作り出そうとしている流れ者の医者と若い産婆の前に、敵討ちを持ちかけ二人の男女が現れる。

二幕目は、桜だけが鮮やかに咲く寂れた宿場町に足を痛めたかつての人斬りが現れて白痴の女とほのかに心通わす話。


一幕目が押さえた色調の世界の中で展開し、二幕目でカラーになり、話がラストで交差して眩しくて強い一瞬の、感情がぶつかって散るさまがとても美しかった。

色々書きたいのだけど、いつも長塚圭史さんの作った芝居を観ると胸がいっぱいになってしまう。
泣きたいような笑ってしまいそうになるような、よくわからない感情になってしまう。
あの世界はあの空間のなかにしかない、のだ。
格好悪くて格好良いひとたちがそこにいて消えて、だからはかなくて強い。


物語と役者の強いちからだ。