ある光。

新宿武蔵野館で映画。
「クラッシュ」

主人公はいない。
いろんな人が出てくる皆、人種差別や貧富のもやもやを抱えている。
黒人の刑事、盗みを働く二人組、二人に車を奪われる白人検事と妻、その妻に偏見をぶつけられる鍵師と家政婦、店を襲われるペルシャ人の店主、父親の介護にイラついて職務でうさをはらす警官とそれが許せない新人警官、プロデューサーとして成功してなお侮辱される男と妻、、、、など、それらの人々のストーリーがぶつかり合う36時間あまりの出来事の映画だった。

もう、しんどいくらいの差別や不当な言い掛かりや不幸な出来事が続くのだけど、「人種差別は悲しい」とか「貧富の差をなくそう」とかいうことを訴えるわけではなく
むしろその各々の人々のなかに灯る一瞬の「ちいさな光り」を強く思うものだった。
特に、幼い娘が「銃の音が聞こえる気がする」とベッドのしたに隠れて眠っていたことを知った鍵師が
「お父さんは昔、妖精から透明なマントをもらったんだ。それを着ていると絶対に拳銃の弾はあたらない、娘が生まれて五歳になったら譲り渡す約束になっていたんだ」と娘に透明な何かを着せるマイムをして
「これで弾は当たらない、お前も娘が生まれて五歳になったら譲るんだよ」と言うシーンがあって、それだけでもうなんだか泣きそうになってしまった。

変な言い掛かりを付けられてイラつく姿もやさしい父親の姿も鍵師のなかにある。
善悪では計り知れない光がそれぞれのなかにあって、それぞれがそれで、生きてるのだよなあと思ったのだった。
最低だと思っていたものが引っ繰り返って最高、までにはならなくてもなんか気が付かなかったものが見えるようになったような気分。
見応えのある映画でした。


下北沢「利八」さんでお寿司。
最近、下北でご飯がめっきり利八さん。
昨日は天然のぶりとかんぱちが歯応えがあってとても美味しかった。
自家製の果実酒があってそれぞれに「ノブイチゴ」「ブンゴアズキ」「マナリンゴ」「サブメロン」と名前がついていて
豊後小豆?とかまなりんご?とか種類なのかなと思いつつ「ノブイチゴ」を頼んでみたら、職人さんの一人がぱっと顔を明るくして「僕がノブです!(各々漬けた職人さんの名前が頭に付けてあった)やった、作ってから初ですよ頼まれるの!」とか、髭を生やしていてもっと渋いのかと思っていたお兄さんが嬉しそうに暗所から果実酒のつぼを取り出してくれるのはなんだか気恥ずかしかったけれども手作りってやっぱ幸せな気持ちになるなあと思った。
真っ赤なリキュールかと思ったら意外に白い液体になっていて、それを牛乳で割ってもらって甘いイチゴミルクのようなお酒だった。
でもしっかりアルコールがきいていて、一杯でにこにこ。
うちも先月梨をホワイトリカーで漬けこんでみたのでうまくいくといいなあ。


さらに帰りに「てんまみち」で日本酒。
「瑞冠(45%精米)」と「加賀の月」を飲みました。
なかなかに休みを満喫。